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SASB記事で思い出すFASB詣で
SASBとは
上記以外にも、TCFD最終報告書(気候関連の財務情報)、日本のコーポレート・ガバナンスに関する報告書のように、特定の分野に特化した開示基準等が次々と報告されてきており、企業のESG情報開示の現場では混乱が生じているのが実態です。 基準統一化の動き こうした状況を踏まえて、ESG情報開示基準等の統一化の動きは昨年の後半から急速に進んでいます。2020年11月25日には、IIRC(国際統合報告フレームワークの策定機関)とSASBは2021年中旬までに合併し、新組織「Value Reporting Foundation」を設立する予定を発表しました。 奇しくも本日の日経新聞電子版(朝刊)では、「ESG情報、開示に青写真 IFRS財団、世界基準を準備」の見出しで、「サステナビリティー(持続可能性)を巡る開示規則の混乱に解決の兆しがみえてきた」と英国のニューズレターを引用して報じています。 記事には、「主要国の金融当局で構成する金融安定理事会が設置した『気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)』が定めた気候変動リスクの開示方法と、米国の持続可能性会計基準機構(SASB)など複数の民間組織が提供してきた枠組みを組み合わせて、企業が従うべき情報開示の青写真を作り上げる予定だという。」とあります。 気になる統一基準の名称 統一後のSASBスタンダードは、IFRS(国際財務報告基準)の非財務報告版ということですから、名称もそれに近いものに変更されるのでしょうか。個人的には響きに馴染みのあるSASBを踏襲してもらいたいと思っています。 FASBが策定するのは米国企業のための会計基準ですが、SASBスタンダードは「世界の企業のための開示基準」に方針転換しており、SASBスタンダードに言及のある情報開示企業の69%は米国外です(2019年3月時点)。日本企業では、大和証券グループ本社と日本電信電話がSASBスタンダードに言及しています。 会計基準と異なり、ESGに関しては各国とも同じ方向にベクトルが向いており、今後どのように収斂していくのか、その時期とともに名称にも注目しています。 誰が保証するのか 企業が開示した財務諸表については公認会計士が意見表明を行います。非財務諸表についての保証業務(アシュアランス)はどうでしょうか。 保証業務に関してもっとも専門知識を有している公認会計士が行うのが妥当だとは思いますが、相当知識をブラッシュアップしないといけません。 例えばカーボンプライシング等に関する企業が作成した報告書に保証を与えるとなれば、それまでとはまったく異なる専門知識が要求されます。保証の正統性(レジティマシー)に説得力を持たせることも必要です。 資格試験や継続教育(米国公認会計士では3年間で120時間の受講が義務付けられている)のシラバスにESGが含まれるのも時間の問題という気がします。 ESGに関する企業の情報開示に関する動きには当面目が離せません。 2021-03-12 |